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自動ドア関連の資格を徹底解説!試験内容や仕事の重要性について

2023年08月01日

仕事紹介

1960年代ころにはすでに日本に存在していたとされ、現在国内で200万台以上が稼働しているといわれる自動ドア。
今や世界トップクラスの自動ドア普及率を誇る日本ですが、最近では省エネやセキュリティ、AIを搭載したタイプなど、多くの機能を備えるようになり、私たちの生活を支えてくれています。

便利になる一方でシステムも複雑化してきている自動ドアですが、高い専門知識を持っていることを証明できる資格が存在するのをご存じですか?

本記事では、そんな自動ドアのスペシャリストである資格の種類試験内容について詳しく解説していきます。

自動ドア保守・メンテナンス管理者

自動ドア保守・メンテナンス管理者は、NPO法人全国自動ドア産業振興会が付与している民間資格です。

自動ドアは複数の電子機器や機械で構成されており、適切に施工するためには高いスキルと経験が求められます。
機材トラブルは事故や人命にも関わるため、施工だけでなく点検・メンテナンスも欠かせません。

自動ドア保守・メンテナンス管理者の資格は、そういったトラブルを未然に防ぐために必要な自動ドアに関する知識や技能を身につけ、自動ドアのエキスパートとして安全安心な社会を目指したいという思いから設立されました。

また、全国自動ドア産業振興会は後述で解説する「自動ドア施工技能士」を目指している人の教育も目的の一つとしており、資格に挑戦する前に一度自動ドア保守・メンテナンス管理者を受けてみるのもよいでしょう。

自動ドア保守・メンテナンス管理者の試験内容

自動ドア保守・メンテナンス管理者の試験内容は以下の通りです。

試験内容

  • オンライン学科講習会 / 実技講習会 / 学科試験・実技試験

学科試験は自動ドアの修理に必要な基礎知識の試験、実技試験では不足している配線を追加して回路を完成させる問題になります。

過去に出題された主な試験問題

自動ドア保守・メンテナンス管理者の試験で実際に出題された問題は、NPO法人全国自動ドア産業振興会の公式ウェブサイトで閲覧ができます。
試験を受ける際はぜひ参考にしてください。

2022年度 学科試験問題

2016年度 学科試験問題

自動ドア施工技能士

自動ドア施工技能士とは、文字通り自動ドアの施工に必要な知識・技術を持っていることを証明できる資格です。

1986年にJADA(全国自動ドア協会)によって施工技能士制度が発足され、1992年に国家検定の技能士制度となり、厚生労働省認定の国家資格となりました。
自動ドア施工技能士には1級と2級があり、1級は厚生労働大臣から、2級は都道府県知事から合格証が交付されます。

現在、全国自動ドア協会に加盟している会社の技術者の中で、約3人に1人が自動ドア施工技能士の資格を持っているといわれています。

(参考:全国自動ドア協会

自動ドア施工技能士の試験内容

自動ドア施工技能士の受験資格や試験内容は以下の通りです。

受験資格

実務経験:実務経験のみ

  • 1級:7年以上
  • 2級:2年以上

試験内容

学科
  • 「自動ドア一般」「施工法」「材料」「保守点検」「建築構造」「製図」「関連法規」「安全衛生」の全8科目
1級 実技試験
  • 試験用架台に設置されている自動ドア装置の取り外し、指示図書に示された分解範囲に分解・組立・調整
  • アルミ板の切断・穴あけ・タップ加工・組み立て・部品の取り付け・指示されたシーケンス回路を完成させる
2級 実技試験
  • 試験用架台に設置されている自動ドア装置の取り外し、指示図書に示された分解範囲に分解・組立・調整
  • アルミ板の切断、穴あけ、タップ加工、組み立て、部品の取り付け

自動ドアの点検やメンテナンスの重要性

ここまで自動ドア施工技能士の内容について詳しく説明してきましたが、ではなぜ点検・メンテナンスが必要なのか。
ここからは、自動ドアの点検やメンテナンスの必要性、重要性について解説していきます。

法律では定期点検の義務はないが・・・

自動ドアの定期メンテナンスは、後述で解説するガイドラインで安全基準が定められているものの、エレベーターのように定期的な点検の義務が課せられているわけではありません。

自動ドアに使用されている部品は耐久性もあり簡単に壊れることはありませんが、だからといって放置しておくと事故の原因にもなりかねないので、あまりおすすめの方法ではありません。

トラブルを未然に防止したり、問題の早期発見、安全性の確保などメリットも大きいので、最低でも年に2回程度は定期メンテナンスを実施した方がよいでしょう。

ガイドラインで定められている安全基準

自動ドア事故の主な原因は、「駆け込み」「立ち止まり」「斜め進入」が半数以上を占めており、小さな子どもや高齢者が巻き込まれるケースが多いです。

自動ドア安全ガイドラインは、こういった事故を防止し、利用する通行者の安全性の向上を図るために日本産業規格(JIS)で定められている「JIS A 4722(歩行者用自動ドアセット- 安全性)」が定められました。

自動ドア施工技能士の仕事を知る上でも、どのようなガイドラインが定められているのか、ここで少しだけみていきましょう。

開閉速度

自動ドアの事故でよくあるものに衝突事故があり、開閉速度が遅すぎても速すぎても危険です。
「JIS A 4722(歩行者用自動ドアセット- 安全性)」のガイドラインでは、自動ドアの開閉速度を以下のように記載しています。

施設によって開閉速度は異なっていますが、これは医療機関や公共施設では、子どもや高齢者、身体が不自由な方の利用が多いため比較的遅く設定されています。

制御によるドアの対策

  • 低エネルギー作動で開作動させること(運動エネルギー1.69J以下、作動力67N以下)
  • ドアの質量:80kg/枚 最大閉速度:●片引 ー 200mm/秒 ●引分 ー 140mm/秒

起動検出範囲

自動ドアには、近づく人や物を検知するセンサーが取り付けられていますが、この検知する範囲のことを「起動検出範囲」といいます。

起動検出範囲が狭すぎると、自動ドアの反応に遅れが生じ、衝突事故になりかねません。
起動検出範囲は、進行方向がドアの面より1000mm以上、幅方向は有効開口幅より左右150mm以上、と定められています。

まとめ

今回は、点検・メンテナンスの重要性を説明しながら、自動ドア関連の資格の概要試験内容について詳しく解説してきました。
保守点検の大切さやガイドラインを見てもわかるように、自動ドアの安全性を担保する現場で働く人たちがいかに大事か、この記事でわかったのではないでしょうか。

そんな自動ドアのスペシャリストである「自動ドア保守・メンテナンス管理者」「自動ドア施工技能士」を取得すれば、依頼するクライアントも安心して作業を任せることができるでしょう。

自動ドア関連の企業で働くなら非常に実用的な資格なので、この記事を読んで興味を持たれた方はぜひ挑戦されてみてはいかがでしょうか。