日本自動ドアでは埼玉県飯能市の工場で山林を保有し、「自伐型林業」に取り組んでいます。NPO法人地球のしごと大學と協力し、自伐型林業研修を実施している他、自社で木製自動ドア「Selvans」の開発を行いました。
今回は具体的な自伐型林業の取り組みや目的、当社が開発した木製自動ドア「Selvans」について詳しくご紹介していきます。
自伐型林業とは
自伐型林業とは、これまで推進されてきた「所有と施業を分離した、森林組合や業者に施業を委託する施業委託型林業」と異なり「経営・施業を自ら行い小規模の限られた森林の永続管理とその森林から持続的に収入を得ていく林業」のことです。
(引用元:https://zibatsu.jp/about/)
また、一定区画の木材を伐採する「皆伐」ではなく、定めた範囲内の一部の木を定期的に伐採していく「間伐」をする林業の方法でもあります。
数年単位ではなく、100年以上先を見据えて山や森林を守り、良好な状態を維持し続けることが可能なため、資源的・経済的にも持続可能な林業として推進されています。
持続可能な収入源となることや地域雇用の創出という観点からも、山や森林が土地の大部分を占める地方の活性化にもつながると考えられています。
日本自動ドアの自伐型林業について
日本自動ドアでは社会課題に対するさまざまな取り組みを実施しています。
その中で日本の林業が衰退していることに危機感を感じ、日本の山を守ることを目的として、地球のしごと大學と協力し自伐型林業研修を始めました。
毎年約30名の研修生がここで技術を学び、林業の未来を担う人材として巣立っております。
また、日本自動ドアでは自社が保有する埼玉県飯能市で伐採した西川材を使用し、木製自動ドアの開発を行っています。
この木製自動ドア「Selvans」は、地域で生産された木材を地域で消費する「地産地消」に貢献する製品です。環境に配慮したサステナブルな事業であると同時に、地域社会への貢献も大切にしています。
NPO法人地球のしごと大學
日本自動ドアの山林で自伐型林業を教えてくださっている地球のしごと大學は地球も人も豊かでいられる社会を目指す組織です。
人のために、地域のために、自分自身のために「よいしごとをしたい」と考えるだけではなく、「地球にとって」よいしごとをするために、オンラインコミュニティや専門学部、部活動などさまざまな取り組みを実施しています。
日本自動ドアでは自伐型林業学部の関東校として、2016年からスタートし第一期〜第十三期まで全13回開講してきました。受講生は関東圏内だけでなく岩手、和歌山、福岡など全国から集い、総勢350名以上に受講していただいております。
自伐型林業に対する想い
日本自動ドアでは、檜の「超樹齢栽培」と1000年使える自動ドア作りを目的とした「超長期ライフワーク経営」を目標としています。
木材は苗木から伐採が可能な成長を遂げるまで40年〜50年以上という長い時間がかかります。だからこそ、日本自動ドアでは1本の檜に対して100年を超える超樹齢栽培を行い、継続的な伐採を行いつつ森林を良好な環境で維持する取り組みを実施しています。
また、超長期ライフワーク経営では自動ドアのメーカーとして山を守る適切なサイクルで林業を行いながら、木製自動ドアを通して持続可能な取り組みを行っていきたいという想いがあります。
木製の自動ドアはアルミやステンレスとは異なり、適切な修復を繰り返すことで1000年以上使い続けられる可能性を秘めています。世界最古の木造建築物である法隆寺が修復の末に1400年という長い年月立ち続け、現代まで歴史をつないでいることはその裏付けになるでしょう。
持続可能な林業への取り組みと、1000年使い続けられる木製の自動ドアを作ることによって自分自身の生涯では完結しない仕事、将来につながり残る仕事を作ることを目的として日本自動ドアは自伐型林業に取り組んでいます。
自伐型林業研修の実施
地球のしごと大學の自伐型林業学部では、自伐型林業に関する基本的な現場知識と現場技術について見聞し学び、自伐型林業を今後実践していくための視座を身に付けることができます。
また、森林管理の担い手育成と自伐型林業の普及を全国で支援するNPO法人自伐型林業推進協会から専門の講師を派遣して頂いております。
研修内容としてはチェーンソー作業特別教育講習や、伐木造材など実践的な実技講習に加えて、座学で自伐型林業の最新動向や経営についての知識を身につけることも可能です。
研修を修了した受講生は、持ち山での自伐型林業を始めたり、地域おこし協力隊として活動したり、自治体と交渉しながら地域で自伐型林業の展開を進めるなど、全国各地で活躍しています。
具体的な研修内容
ここからは実際に自伐型林業研修の具体的な取り組みの例をご紹介していきます。
下記にある内容だけではなく、コース内容や目的に合わせてバックホー(油圧ショベル)の操作練習、自伐型林業のモデル山林の視察を行うことができる関西遠征なども実施しています。
チェーンソー作業特別教育講習
チェーンソー作業特別教育講習ではチェーンソーの取扱い技術及び実技についての基本的な技術を習得することができます。
具体的には教科書を使った座学とチェーンソーを使って材木を切断する実習を行っています。
伐倒造材
伐倒実技では立木の伐倒を1名ずつ順に実施しており、商品として価値を出すための造材についても学ぶ機会となっています。
その後実際に林内作業車で材木を山から運び出し、売り出しのシミュレーションを実施。付近の原木センターにも見学へ行きます。
作業道敷設
林業や山を守ることにおいても欠かせない作業道敷設についても研修を実施。
山歩きをしながら山林の見方、座学による作業道敷設のためのポイントレクチャー、作業道敷設の実技をしています。
ワーカーズボイス
自伐型林業学部を過去に受講されて現在実践のフェーズにいる方々から、リアルな話を見聞し学びを深めます。オンライン会議ツールを使用し、さまざまな現場に携わられている方へお話を聞かせていただいています。
Selvansの開発に込める想い
林業の取り組みと自動ドアのテクノロジーを融合させ、木製自動ドアとして開発された製品が「Selvans」です。「Selvans」は豊かな森を作り、持続可能な社会の実現に向けて未来へつなぐ、という想いから始まりました。
木目を活かした温かみのあるデザインが目を惹くだけではなく、長く使い続けるための素材や地産地消といったさまざまなこだわりが込められています。木製自動ドア「Selvans」を通して今後100年〜1000年、それ以上の長い期間を見据えた林業再興を行っていきたいと考えています。
Selvansの地産地消
木製自動ドア「Selvans」では、地域の木材を活用しています。林業においては地産地消を行うことで、運搬費や人件費、CO2の削減までもが期待でき、地域活性化にもつながると考えています。
これまでは埼玉県や他の地域産の木材、また南三陸産の杉や檜など、地域で伐採された木材を取り入れてきました。今後もより多くの地域と結びつき、林業を通じて地域と共に成長し、持続可能な未来を築く一助となることを目指しています。
1000年使い続けることができる材
木製自動ドア「Selvans」は1000年使い続けられる自動ドアを目指すため、修復技術にも力を入れ、経年変化までも楽しんでいただけるよう、木材の魅力を存分にいかしていきたいと考えております。
木材は金属に比べて耐火性や耐久性が低いという課題があります。そのため、「Selvans」は屋外環境でもより安心して使えるよう、さらなる開発を進めています。
今後もよりアフターフォローにも力を入れ、デザインや素材の魅力だけではなく、長い年月を共に過ごす価値のある入り口としてありたいと考えています。
まとめ
今回は日本自動ドアで実施している自伐型林業の取り組みや目的、木製自動ドア「Selvans」について詳しくご紹介しました。
日本自動ドアは林業再興への貢献として、木製自動ドア「Selvans」の開発と自伐型林業研修を行っています。これらの取り組みは、森林保護や地域雇用の創出に加えて、地域貢献につながる製品づくりを推進する自動ドアメーカーとしての社会的責任を果たすことにもつながると考えています。
日本自動ドアは今後もさまざまな社会課題と密接に向き合い、企業としてできるサステナブルな取り組みを実施していきます。